Story
住田 梛英
Naoe Sumita
Founder / Image Consultant
大学で量子力学を研究し、メーカーで光ファイバーや医療用内視鏡の開発に携わっていました。
技術の世界で特許を取得し、国の補助金事業も手がけていましたが、
過労で倒れたことをきっかけに、人生を見つめ直すことになりました。
その後、医学を学び、人の体が年齢とともに自然に変化していくことの美しさに気づきました。
経営コンサルタントを経て、コロナ禍のステイホーム中に、
ふと手にした布から、ワンピース作りが始まりました。
自分用に、家族に、友人に…と作っているうちに、
「サイズが合う服がない」という声にたくさん出会いました。
色柄豊かで体にフィットするワンピースは、みなさんの表情を輝かせてくれました。
私は子供の頃から、変わった帽子や個性的な服が大好きでした。
顔立ちや骨格で「似合う・似合わない」を決めるのではなく、
その人が「どう在りたいか」を大切にしたい。
それがThe Dignity Studioの原点です。
女性の体は、ホルモンの変化とともに自然に変わっていきます。
20代の体型を追い続けるのではなく、今の自分を受け入れ、
今の自分に似合う服を楽しむ。
そんな風に、長く寄り添える服作りを目指しています。
2025年11月、The Dignity Studioを正式にスタートしました。
この名前には、働く女性一人ひとりが、
自分らしい尊厳を持って輝けるようにという願いが込められています。
デザインはワンピース1つだけ。
布選びは基本的に自由。
普通の仕立て屋さんとは逆を行く事業スタイルです。
デザインを一つに絞ったのは、かつて自分がオーダーで服を作った時、
ディテールの選択で迷い続けた経験があるからです。
襟の形、袖の長さ、ボタンの位置…
違いの分からない選択をたくさんしなければならないことが、純粋に辛かった。
だから、完璧にきれいなデザイン1つに絞る方が、
合理的でよいサービスになると考えました。
布選びを自由にすることは、通常の仕立て屋さんではありえないことです。
服作りの大変さは、生地によって全く異なります。
太い糸でザクザク粗い目で織られた個性的な生地、素敵な刺繍入りの生地。
こうした生地は、柄合わせも大変で、裁断した端から解れ、
熟練も手間も要する、だから売り場から静かに消えた。
でも世界には驚くほど素敵な生地があり、着ると何倍も素敵に見える。
古代から王様たちがすごく手の込んだ布の服を着ているのも納得です。
私は現代でも、そんな楽しみを大事にしたい。
the Dignity Studioの見立ては、
目の前のお客様に似合うことよりも、
お客様の目の奥にいる理想の姿に似合う布を選んでいます。
女性は服の選択肢が広い分、仕事に行く服にも自分の趣味を反映しがちです。
でもその自由さは時に、「プロの仕事服」として見た目の損を招いている。
例えば魚屋さんなら、藍色に「魚」とキリリと染抜かれた前掛けをしている姿と、
繊細なアンティークレースのエプロンをしている姿。
前者の方がおしゃれではないけれど、本職っぽく、魚がおいしそうに見える。
それぞれの仕事に、高い仕事の質を連想させる服装があります。
職場においては、そういう服装の方が周囲から高い期待を集め、
結果的に評価もされやすくなる。
だから布を見立てるときは、その理想モデルを探して分析し、
その上でお客様との相性も見た上で布を選んでいます。
自分の手で作る、現場のモノ作りが大切。
見えない贅沢を削ぐシンプルなカット、裏地のない簡素な仕立て。
長く愛せる服として辿り着いた形。
縫製は縫製経験豊かなプロに頼んでいますが、
型紙作り、下処理や裁断までは基本的に自分で行っています。
CEOとして事業と向き合う中でも、
自分自身がモノづくりにおいて現場感覚をなくしたくない。
様々な工夫やアイデアは手から生まれるからです。
私たちの服は何十mもコンベアに乗り、
何十枚も重なる裁断機で数秒で切り出した服ではありません。
一つ一つ手を掛け、アイロンを当て、
布の特性を見ながら大切に一針ずつ縫われた服です。
驚くほどのシンプルさの先に続く、服と私たちの未来を見ています。